厚生労働省は、平成27年4月から12月までに8,530事業場に対して実施した、長時間労働が疑われる事業場に対する労働基準監督署による監督指導の実施結果を取りまとめ、公表しました。この監督指導は、1か月当たり100時間を超える残業が行われた疑いのある事業場や、長時間労働による過労死などに関する労災請求があった事業場を対象としています。この結果、平成27年4月から12月に監督指導を行った 8,530 事業場のうち、半数を超える 4,790 事業場で違法な時間外労働を確認したため、是正・改善に向けた指導を行いました。

具体的な指導事例が掲載されており、非常に参考になります。内容はこちら(記者発表資料)

会社の仕事は忙しい時とそうでもない時があるでしょう。忙しい時期は当然残業せざるを得ませんし、長時間労働が必要な時期もあると思います。そのための例外規定が労働基準法には用意されています。

極端な長時間労働が生じてしまう理由を長年考えてきましたが、長時間労働は美徳だといった企業文化が一つの原因となっているのではないでしょうか。企業の組織では社員間の競争が不可避ですから、個々の社員を評価する必要が生じます。このこと自体は企業の成長に結びつくことであり、とても大事なことです。ただ、その時に長時間労働をするものは優秀だといった価値判断をする企業風土があると、長時間労働を助長してしまうのではないかと考えられるのです。